イノベーションは多くにとって明確な目標:戦略やアプローチは未完成

刻々と変化するビジネス環境においてイノベーションは非常に重要です。イノベーションを優先できない組織は失敗する可能性が高くなります。経営層を対象とした別のグローバル調査では、破壊的イノベーションの急速なスピードが今後10年間にわたって組織のトップリスクになるとの結果も出ています。

長期的な戦略目標を念頭に置きながらも、IT領域のイノベーションによる効率性の向上、コスト削減、新しいビジネスモデルの実現、顧客満足度の向上など、具体的な短期的目標にも焦点を当てなければなりません。そうでなければ、イノベーションの取り組みは失敗する運命にあります。

幸いに、大多数の組織がイノベーションの目標を明確に定義しています。これはIT部門幹部が、取締役会やCxOとともに、イノベーションのための計画とマインドを持つことの重要性を認識していることを強く示しています。

戦略がイノベーションの起爆剤である必要はありません。

あなたの会社では、イノベーションの目標が明確に定義されていますか。

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Global IT Chart 23, 79%

予想通り、イノベーション目標を持つ組織の割合は規模によって異なります。大企業(純利益100億ドル以上)の95%が明確に定義された目標を掲げているのに対し、小規模企業(同5億ドル以上10億ドル未満)では現在50%にとどまっています。

目標はイノベーションの材料の一つに過ぎません。近い将来、そして長期的な成功を収めるためには、その目標を達成するための戦略が必要です。イノベーション目標を持つ組織と比べると、戦略を策定している組織は減少しています。全体として、54%の組織が明確なイノベーション戦略を策定しており、40%強の組織が現在策定中であることがわかりました。これは驚くべきことではありません。イノベーションとは、ビジネス価値を高めることに焦点が移るまで、新しいプロセスや機会の可能性を生み出す手段だと考えるべきです。戦略がイノベーションの起爆剤である必要はありません。

あなたの会社のイノベーション戦略の状況を最もよく表しているのは、次のうちどれですか。

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あなたの会社のイノベーション戦略の状況を最もよく表しているのは、次のうちどれですか?

上記の数字は組織の規模によって内訳が異なり、大企業の76%が明確なイノベーション戦略を有しているのに対し、小規模企業では26%にとどまっています。

目標の達成と戦略の策定はしばしば混同されます。組織は目標(達成したいこと)と戦略(どのように達成するか)を区別し、この2つのカテゴリーがビジネスにおいて何を意味するかをより明確にする必要があります。

企業が注力しているイノベーションとしては、現行システム、製品、プロセスの最適化が挙げられます。しかし、そのリソースの大半は、レジリエンスを獲得し、収益や新しい市場での成長を生み出すことにも費やされています。

CIO、CTO、ITリーダーは、取締役会、CxOと協力し、組織の幅広いビジネス戦略の一環として、イノベーション活動をどのように、どの領域で、どのようなゴールをもって推進するかを定義する必要があります。

イノベーションは、製品、サービス、ソリューション、オペレーションを創造し、再構築することに要素分解できます。しかし、明確な戦略のないイノベーションは、成果の未達成、予算の超過、経営陣の賛同の欠如など、さまざまな面でリスクを伴う可能性があります。79%の組織が明確なイノベーション目標を持ち、54%が明確なイノベーション戦略を持っていると回答したのにかかわらず、ほとんどの組織は完全に開発された実行可能な戦略とは対照的に、思いつきの目標を持っているだけという可能性もあります。

Global IT Executive Survey
Global IT Executive Survey
Global IT Executive Survey
組織は目標と戦略を区別し、この2つのカテゴリーがビジネスにおいて何を意味するかをより明確にする必要があります。

あなたの会社の現在のイノベーション活動のうち、以下の各分野に注力している割合はどのくらいですか。

  (現行システム、製品、加工などの)最適化。 (混乱に対する)レジリエンスの構築 (新興市場、収益などの)成長
0% 0% 0% 1%
1%-10% 0% 4% 4%
11%-20% 3% 25% 19%
21% - 30% 15% 30% 34%
31% - 40% 39% 32% 31%
41% - 50% 27% 8% 10%
51% - 60% 10% 1% 1%
61% - 70% 5% 0% 0%
71% - 80% 1% 0% 0%
81% - 90% 0% 0% 0%
91% - 100% 0% 0% 0%
Mean 42% 29% 29%

研究すること、探求すること、そして実験することは、イノベーションを推進するための重要な部分です。多くの組織にとって、それはテスト環境(ラボ)を作るか、専門家のグループ(シンクタンク)を作ってイノベーションを調査するかの二択になります。ほとんどの大企業(86%)がそのような選択肢を取っているのに対し、小規模企業では約20%にとどまっています。

これには、予算、要員、求められるイノベーションのレベルなどいくつかの要因があります。とはいえ、組織はやみくもにイノベーションを追求すべきではありません。小規模なプロジェクトを検討し、適切な専門人材(組織内外ともに)を活用する必要があります。また、組織は、イノベーションの可能性を加速するために、デザイン思考やアジャイル思考、リーン思考といった新しい考え方の導入を検討すべきです。

組織は目標と戦略を区別し、この2つのカテゴリーがビジネスにおいて何を意味するかをより明確にする必要があります。

あなたの会社には、イノベーションに特化した専門のラボやシンクタンクがありますか。

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58%

イノベーションが重要であることは言うまでもありませんが、企業はこれらのプロジェクトを進める上で未だ課題に直面しています。このうち、突出して大きな課題は規制やコンプライアンス要件です。また、セキュリティリスクも上位の課題の一つです。

テクノロジーリーダーに求められるアクション 

注目すべき点 - 業界と地域 

  • 全体として、金融業界はイノベーションに焦点を当てた専門のラボやシンクタンクを持つ傾向にあります。
  • 予想通り、テクノロジー業界と消費財業界では、それぞれ87%と86%という非常に多くの組織がイノベーションの目標を明確に定義しています。
  • 同様に、多くの金融(69%)、消費財(69%)、テクノロジー(60%)業界の組織は、明確なイノベーション戦略を持っています。
  • 保険会社(85%)と消費財メーカー(79%)は、イノベーションに焦点を当てた専門のラボやシンクタンクを持つことで他業界より先行しています。
  • 製造業の93%がイノベーション目標を明確に定義しているのに対し、化学・素材産業の組織では63%にとどまっています。
  • 米国を拠点とする組織の81%がイノベーションの目標を明確に定義しているのに対し、欧州およびアジア太平洋地域の組織では79%となっています。
  • 専門のラボやシンクタンクについては、組織がこれらを持つ可能性が高い国として、日本(78%)、中国(62%)、ドイツ(66%)、アラブ首長国連邦(64%)、フランス(64%)が挙げられています。
  • 地域別では、北米を拠点とする組織の54%が明確なイノベーション戦略を持っており、欧州を拠点とする国の56%が同様の回答をしています。

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