過去の本シリーズ記事でも取り上げた通り、リスクアペタイ ト(選好)ステートメント(注:リスク許容度/選好度を明確 にしたリスク管理方針書)には、①許容しうる、または戦略 に合致するリスク、②許容できない、或いは戦略に合致し ないリスク、③戦略・財務・業務リスクパラメーター、の 3 つ の要素があります。これらの 3 つの要素は一体となって 企業のリスク選好を構成します。
リスク選好ステートメントは、取締役会や経営者にとって は、戦略策定プロセスから生み出されるリスク戦略につい て注意喚起を促してくれます。例えば、競争に勝ち残る ための戦略に関して、競争相手に比べ秀でている分野を 徹底的に明らかにしてくれます。以下においては、リスク 選好ステートメントがどのように活用されるべきかについて…
テクノロジが進歩し、私たちの生活、交流、仕事、遊びを変 えたなどというのは、もはやあまりにもありふれた表現です。 確かにコストの削減、ビジネスプロセスの改善、売上の拡 大に向けたテクノロジの活用により事業のあり方は変化し ています。ユーザーの高度な要請は、クラウドコンピュー ティング、ソーシャルネットワーク、モバイルテクノロジ、その 他の実用化技術のトレンドとあいまって、テクノロジ分野に おける劇的な変化をもたらしています。
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市場や環境の変化が新たなリスクを招き、リスクプロファイ ルを変化させ、既存のリスク管理能力の有効性を削ぎま すが、対応しなければならないことは変わりません。マク ロ経済上、戦略上、オペレーション上のリスクのプロファイ ルは多くの企業にとってその重要性、複雑性が増しつづ けています。企業がグローバルビジネス環境下で競争す る中、これらのリスクは経営者および取締役会にとって不 確実性を創り出しています。
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取締役会がリスク監視に注力するにあたり、考慮すべき 点は多くあります。取締役会が検討すべきひとつの課題 は、企業がリスク管理・コンプライアンス管理の破綻につい てどのような防止策をとっているかと言う点です。
企業の存在目的は企業価値の創造にあることはいうまで もありません。このことは世界的に受け入れられています。 しかし、経営者がリスク管理部門から発せられた危険信 号を無視したり、新製品・新サービスの提供にあたり重要な 法令遵守を怠ったり、企業戦略が遂行できていないことを 示す否定的情報を無視するときは、取締役会が行動を起 こさなければなりません。さもなければ、企業は企業価値 保全の重要性について手痛い教訓を得ることになるでしょ う。経営者が戦略事項や重要方針について取締役会と…
取締役がリスク監視責任を果たす上で企業のリスクにつ いて問うべき質問は多くあります。ビジネス環境が変化 するにつれて、リスクプロファイルも変化し、ビジネスモデル も危険にさらされます。企業戦略およびリスク管理能力も これらの変化に適合しなければなりません。
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全社的リスク管理(ERM)とは謎めいた言葉です。経験 豊富なビジネスパーソン10 人にERMとは何か質問すれ ば、10 通りの答えが返ってくるでしょう。ERMを導入して いるという企業でも、実際には、きわめて限定的な範囲で のみ導入しているのが現実です。例えば、リスクをリスト 化しているだけであったり(全社的「リスト」管理)、年次レ ビュープロセスの一環でリスク対応を要約しているだけで、 事業の速度や日々変化する破壊的なビジネス環境とかけ 離れたものであったりします。
経営者の多くがERMの話題に慎重なのは、ERMを自社 にどのように適合したものにするかについて理解していな いからです。既存のプロセスに上乗せしたり、付け加えた りすることは好ましくありません。要するに、ERMの導入…
金融業界においては、リスク選好フレームワークは、概括 的・簡素・定性的なものから、複雑・詳細・定量的なものまで 幅広く存在します。これは、金融機関によって、リスクアペ タイト(選好)ステートメント(注・金融危機後、金融機関に 求められる戦略を踏まえリスク許容度/選好度を明確に したリスク管理方針文書)がどのような形であるべきかに ついての見解、ならびにリスク選好に関する協議の成熟 度がさまざまであるためです。金融業界においてでさえ、 リスク選好を決定するプロセスが未成熟であることも多い のです。ましてや、金融以外の業界においては、多くの 会社がリスク選好について検討をはじめたばかりです。
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我々は正しいリスクを対象としているのか?――このような 修辞的な質問が取締役会の場、とくに経営戦略について の議論の場でなされているかもしれません。とても簡単な 質問に聞こえますが、みかけによらず簡単には答えを見出 しにくい質問です。それは、次に「正しいリスクを対象とし ているかどうかが、どうやってわかるのか」という大きな疑 問につながっていきます。
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カントリーリスクとは、国外投資に際して投資価値の毀損 あるいは投資利益率の低下をもたらす種々のリスクです。 投資価値の毀損は、事業の国有化や資産の没収等、現 地国家権力の行為に生じえます。投資利益率の低下は、 現地政府が特定企業、特定業種(エネルギー・金融等)、 特定国籍の企業(税金の上乗せ、価格・生産規制、為替 規制、事業拡張規制能力規制その他)に対し差別的な措 置をとることによって生じえます。(これらは、暴動、テロ、戦 争、インフラ不全、誘拐やその他の行為によって生じること もあります。)カントリーリスクを管理する主目的は、海外へ の投資を保全し、十分な収益を確保することにあります。
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危機管理は、有効なレピュテーション管理の一要素です。 世間的に評価の高い企業ですら、時に想定外にさらされ ることもあることから、突然・想定外の事象に対し、迅速か つ効果的に対応することで、レピュテーションを高めること もできます。しかしこのことは逆に、準備がなされていな いときの代償は高いことを意味します。
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