トップリスクに関する経営者の展望

世界の取締役と執行経営陣は、2030年のリスクの調査から革新的技術と将来の働き方が今後10年の関心事であるものの、2021年の最も懸念することは、COVID-19関連の政府の政策や規制、成長を制限する可能性のある経済状況、および顧客需要に影響し続ける可能性のある市場状況に関連するリスクを挙げています。
リスクの世界を10年にわたる長期的な視野で見ると、ビジネスリーダーの最大の懸念事項として人材に関する課題を挙げています。新興のデジタル技術への適応能力や革新的イノベーションの急激なスピードに組織がついていくために、適切に判断してビジネスを推進し組織をナビゲートできる才能あるトップ人材を維持・確保することや、それに適応してオペレーションできるように従業員のスキルアップや再教育を行う能力が今後10年におけるリスクマネジメント戦略上での最重要事項となるでしょう。また、データセキュリティーとサイバー攻撃の脅威は業界や地域を越えて不変であり、サイバーリスクとプライバシーリスクはすべての組織が注力すべき事項であり続けるでしょう。

2021年のトップ10リスク

1. パンデミック関連の政策や規制による業績への影響
2. 経済状況が及ぼす成長機会への制約
3. パンデミック関連のマーケット状況が及ぼす顧客需要の減少
4. デジタル技術導入に当たり、新しいスキルの確保または既存従業員のスキル向上・再訓練に必要な多大な労力
5. プライバシー／個人情報管理と情報セキュリティ
6. サイバー攻撃の脅威
7. 規制変化・執行強化が組織の対応能力、製品・サービスに与える影響
8. 後継者問題とトップ人材の確保と引き留め
9. オペレーションやビジネスモデルを変えることに対する抵抗
10. 「ボーン・デジタル」企業や競合他社に対する競争能力

2030年のトップ10リスク

1. デジタル技術導入に当たり、新しいスキルの確保または既存従業員のスキル向上・再訓練に必要な多大な労力を要する可能性
2. 規制変化・執行強化が組織の対応能力、製品・サービスに与える影響
3. 革新的イノベーションの急激なスピードに自己の競争能力が追い付けない
4. 後継者の課題とトップ人材の確保と引き留め
5. プライバシー／個人情報管理と情報セキュリティ
6. 代替製品やサービスがもたらす会社のビジネスモデルへの影響
7. 顧客嗜好や人口動態の変化が起きることにより顧客のロイヤリティーを維持することや顧客を繋ぎとめることがより困難になる
8. 「ボーン・デジタル」企業や競合他社に対する競争能力
9. 市場情報分析（market intelligence）の達成や生産性や効率の向上のための、データ解析やビッグデータを使う能力の欠如
10. サイバー攻撃の脅威
     

本調査および過去の調査結果に関するナレッジ／解説動画

プロティビティとノースカロライナ州立大学のERMイニシアチブは、毎年、取締役会と執行経営陣が考えるトップリスクに関する調査を実施しております。以下は関連ナレッジおよび解説動画（ウェブキャスト）の情報です。

• 2021年・2030年トップ10リスク

取締役会や経営者が見るトップリスクのグローバル調査～2021年と2030年のリスクの展望と対応ウェブキャスト（2021年4月6日実施）
トップリスクに関するエグゼクティブの視点：仕事の未来
Risk Oversight vol.136：2021年のトップリスク ー グローバルな視点
Risk Oversight vol.137：今後10年のトップリスク ー グローバルな視点

• 2020年トップ10リスク

Risk Oversight vol.123：2020年のトップリスクを見る
2020年トップリスクに関する調査結果解説ウェブキャスト(2020年2月28日実施)
経営者が見るトップリスク2020の展望～取締役会および執行経営陣が考える課題と対応
2020年トップリスク調査結果および詳細レポート（英語）

• 2019年トップ10リスク

Risk Oversight vol.111 : 2019年のトップリスク

• 2018年トップ10リスク

Risk Oversight vol.99 : 2018年の最重要グローバル・リスク