2024年と2034年のトップリスクに関するエグゼクティブの視点

取締役会と経営幹部で議論される主要課題

取締役会と経営幹部は、刻々と変化するリスク状況や認識されたリスクの全体的な影響度と深刻さから、新たなリスク問題に焦点を当て続け、それらの洞察を戦略的意思決定に統合するためのアプローチを綿密に精査する必要があります。

第12回目となる「トップリスク調査」報告書は、2024年、そして10年後(2034年)に向けて、世界中の取締役や経営幹部が直面する最重要課題を浮き彫りにしています。

今は、経営陣や取締役会にとってどこに投資(革新や成長のための投資だけでなく、リスク管理やマーケットイメージ/ブランドの維持、そして経済が逆風から抜け出した時の力強い回復を促す投資)すべきかを熟慮する好機です。

長期的なリスク状況を考えるとき、リーダーには2つの疑問が生じます。

  • 革新の10年において成功するため、十分な俊敏性とレジリエンス(回復力)を組織が備えるために、私たちは当面どのような措置を講じるべきか、あるいは継続すべきか。
  • もし私たちの組織が破壊されようとしているなら、それをどうやって知るのか、いつ知ることができるのか。
現在、予防と検出だけでなく、機敏性と回復力にも重点が置かれています。

10人中9人の経営幹部は「サイバー脅威」を長期的なトップ5リスクとして認識しています。

58%のリーダーが2024年のトップリスクとして「経済状況」を挙げています。

61%のリーダーが2034年のトップリスクとして「人材の確保と維持」を挙げています。

今日の急速に変化する環境では、定期的なリスク管理では不十分です。

2024年と2034年のトップ10リスク

  1. インフレ圧力を含む経済状況
  2. トップ人材の獲得・育成・維持、従業員の期待の変化への対応、後継者問題への対処などの能力
  3. サイバー攻撃の脅威
  4. サードパーティー・リスク(パートナーやサプライヤーのリスク)
  5. 規制の変更と監視の強化
  6. 人材が不足する新たなスキルを必要とするデジタル技術の適用
  7. 既存のオペレーションと時代遅れのITインフラが、パフォーマンスの期待や、「ボーン・デジタル」との競争に不十分
  8. 現行の金利環境の変化
  9. 人件費の増加
  10. 個人情報保護への要求の高まりによるプライバシーとコンプライアンスの確保
  1. サイバー攻撃の脅威
  2. トップ人材の獲得・育成・維持、従業員の期待の変化への対応、後継者問題への対処などの能力
  3. 人材が不足する新たなスキルを必要とするデジタル技術の適用
  4. 新技術や新興技術、あるいはその他の市場原理がもたらす革新的イノベーションの急速なスピード
  5. 規制の変更と監視の強化
  6. サードパーティー・リスク(パートナーやサプライヤーのリスク)
  7. インフレ圧力を含む経済状況
  8. 既存のオペレーションと時代遅れのITインフラが、パフォーマンスの期待や、「ボーン・デジタル」との競争に不十分
  9. 人件費の増加
  10. マーケットインテリジェンスの獲得や生産性・効率性の向上のための厳密なデータ解析能力の不足

分析の内訳

業種別

全7業界グループ中5業界グループでは、景気に関する懸念をリスクのトップ5に挙げています。

特定のリスク懸念については、業界グループによって見解が著しく異なっており、業界の置かれた背景を考慮することが重要であることを裏付けています。

しかし、ある種の組織のビジネスモデルは、単一の業界カテゴリーにきれいに収まらない可能性があることを考えると、複数の業界におけるリスク懸念の違いを検討することは、見過ごされかねないリスクを引き出すのに役立つ可能性があります。

役職別

トップ5リスクのうち4つを取締役とCEOが同じリスクを2024年で挙げています。

この結果は、異なる環境下または長い時間軸と短い時間軸でリスクを評価する際に、役割の違いによってどのように異なる視点が示されるかを反映しています。

様々な視点は、経営幹部や取締役会での議論を深めるうえで、リスク状況に対する特有な見解をよりよく理解し、組織のリスクプロファイルをより明確に把握することにつながります。

地域別

全ての8地域において、後継者育成プラン、人材の獲得・維持がリスクのトップ5に含まれています。

8つの地理的地域におけるトップ5のリスクには、性質や種類の異なるリスクが含まれていることは注目に値します。

  • アフリカ本部組織
  • オーストラリア/ニュージーランド本部組織
  • アジア本部組織
  • ヨーロッパ本部組織
  • インド本部組織
  • ラテンアメリカ/南アメリカ本部組織
  • 中東本部組織
  • 北米本部組織

組織規模・タイプ別

リスクのトップ5のうち3つが2024年ではすべての組織規模で同じです:人材、経済、サイバー脅威(

すべての規模の組織における見通しは、全般的にリスクの影響度と深刻さについて、短期的なリスク評価は若干低下しているものの、長期的なリスクは2年前より高まっています。

このことは、前年比でリスク状況がいくらか全般的に改善していることを示唆していますが、長期的な危機感は依然として残っています。

組織のタイプ 

  • 政府系機関 
  • 非営利団体 
  • IPOを計画している非上場の営利企業 
  • IPO計画のない非上場の営利企業 
  • 上場企業

組織の規模  

  • 売上高100億ドル以上  
  • 売上高 10億ドル~100億ドル未満  
  • 売上高 1億~10億ドル未満  
  • 売上高1億ドル未満

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