ERPの機能を活用した内部統制への対応

米国の多くの企業において、サーベンス・オックスレー法(以下、SOX)対応の1年目と継続的な対応が非常に大きな負担となってしまったことは周知の通りです。SOX1年目における内部統制の文書化と整備状況評価、運用状況評価に要した人件費をはじめとする一連のコストは、予算を大きくオーバーしてしまいました。1年目の対応においては、多くの企業においてより工数のかかる人手によって実施される発見的なコントロールがより広い範囲において認識され、運用されることとなりました。これに対して、経営者や監査委員会は、SOX対応プロジェクトのリーダーに対して、SOXにおいて要請されている内部統制への対応をより迅速に進めるよう要求し、それと同時に関連するコストの削減を求めています。

幸いなことに、多くの企業では既に何らかのERPを導入しており、これを有効活用することによって、SOX対応を効率的に行うことが期待されています。例えば、コントロールを自動的にモニタリングできるようにERPを適切に設定すれば、企業はマニュアルコントロールへの依存度を軽減させ、人件費等のコスト削減することができます。この結果、企業はSOX対応をプロジェクトによる管理ではなく、継続的に対応が可能なプロセスにおける管理に移行させることができます。これが経営者や監査委員会の要求に応えるためのキーポイントです。

SOX対応の実施は、ERPの機能を最大限に活用するための唯一の機会と言うわけではありません。しかしながら、成長過程にある多くの企業は数多くの業務プロセスをサポートするためにERPを選択しています。従って、もし子会社の業務プロセスや利用するシステムがERPに連携され、財務報告や情報開示の元となる情報がERPに蓄積されるのであれば、ERPは内部統制への対応をプロジェクトによる管理からプロセスにおける管理へとシフトさせる基盤となります。

ERPはSOX対応のためのプロジェクトを、継続的に実施可能なプロセスにおける管理に移行させるために必要な多くの機能を有しています。しかし残念なことに、これらの多くの機能は利用されていないか、もしくは十分に活用されていません。

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