解説:モダナイゼーションするのが賢明 - IT自動化の戦略

解説:モダナイゼーションするのが賢明 - IT自動化の戦略

~テクノロジーインサイトブログを翻訳してご紹介しています~

現在展開されているエンタープライズソフトウェアの大部分は、アジャイル、DevOps、クラウドといった現代の概念がまだ存在していなかった時代に設計されました。企業は、マルチチャネルインターフェースのサポートやオンラインエコシステムの統合、継続的なビジネスプロセスの改善など、デジタルがもたらす課題に日々直面しています。なぜなら、ソフトウェアとは決して「完成」しないものだからです。その結果、多くのエンタープライズソフトウェアがアップグレードやアップデートの時期を迎え、これらの問題に対処するため、レガシーのモダナイゼーションプログラムの実施に注力しています。また、コア技術のスキル不足や生産終了となったソフトウェアコンポーネントによるリスク許容範囲からの逸脱、パブリッククラウドが活用できないこと、技術が当初のビジネス要件を満たさなくなることなど、組織のモダナイゼーションの取り組みに影響を及ぼすことがあります。

モダナイゼーションは、ITの自動化を受け入れなければ、モダナイゼーションプロジェクトの意図したメリットを達成できないリスクがあります。
 

なぜモダナイゼーションなのか

まず、ITのモダナイゼーションの背景にあるビジネス推進力を理解することが有益です。技術者は新しい技術の進歩に追いつくことを主張しますが、企業は重大なビジネスリスクがない場合にのみ、重大な再構築に投資する傾向があります。

企業が技術プラットフォームのモダナイゼーションに投資する重要な理由は、いくつかあります。

  • ビジネスの複雑性の増加
    • ビジネス環境は常に変化しており、長年または数か月の実施サイクルは、ビジネスニーズを前もって予測することの難しさが増すため、現実的ではありません。
    • 例えば、コロナ禍は、多くの組織が短期間でビジネス優先順位を変更し、デジタル化した顧客とのエンゲージメントが適うニュー・ノーマルに適応するように促しました。
  • レガシーな技術環境
    • 企業は多量の技術を蓄積しており、変更努力は既存の技術能力を最大化しながら技術負債を最小限に抑える必要があります。
    • 単独で機能するエンタープライズシステムはほとんど存在しないため、価値を提供するためにどの技術をモダナイゼーションするかを理解することが重要です。
  • 高い技術革新率
    • 新しい技術が急速に利用可能になり、それらを素早く効果的に活用することができれば、ビジネスの価値提案に大きな利益をもたらすことができます。
    • 例えば、クラウドサービスプロバイダは常にプラットフォームを革新しており、これは利益率の向上や新たな収益機会に直結します。
  • 継続的な改善に対する顧客とユーザーの期待
    • かつてないほど多くの新しいテクノロジーが顧客や社内ユーザーに直接導入されており、顧客体験は顧客ロイヤリティの維持とスタッフの定着に欠かせないものとなっています。
    • 企業は、競合する製品やサービスにおいて、常に顧客体験の向上を求められており、追いつくかあるいは上回ることが求められています。
    • 顧客向けのソフトウェアサービスは、決して「完成」しないものです。

IT自動化とは

技術のモダナイゼーションは、より新しい技術(通常はタレントの豊富なオープン技術)の採用に焦点を当てています。しかし、これだけではビジネスの目的を達成することはできません。

これは、現代のソフトウェア開発において、展開されるプロセスも重要であるということを意味します。これまで以上にソフトウェアが素早く開発・展開されているため、ITプロセスは可能な限り自動化されている必要があります。これにより技術チームは、ビジネス支援に注力できます。

従来、ウォーターフォール方式で開発されたプロジェクトでは、管理プロジェクト内の変更だけを提供するように設計されました。プロジェクトが完了すると変更は推奨されていませんでした。プロジェクトチームは、プロジェクト期間中にたった数回しか発生しないアクティビティを自動化することに投資するインセンティブがありませんでした。代わりに自動化は、セキュリティやコンプライアンス、小規模なビジネス要求変更を処理するために運用チームに託されていました。

DevOpsは、開発チームと運用チームのコラボレーションモデルを革新しました。DevOpsは、文化的な壁を取り払い、運用チームが開発チームのプラクティスと規範を採用することを促し、開発チームがソフトウェアの品質とレジリアンスに関する観点を採用することを促しました。

つまり、ITの自動化では、アプリケーション開発者が作業を完了した時点から、そのコードが本番環境に正常に実装されるまでの作業フローを改善し、摩擦を取り除くことを目的としています。

現代の技術では、ほぼすべてのIT活動がソフトウェアによって定義されています。例えば、クラウドを使用することで、すべてのインフラストラクチャの準備が完全に自動化されます。これによって、品質管理テスト、アーキテクチャ適合性テスト、セキュリティテスト、ポリシーまたはコンプライアンス検証などの必須検証プロセスの自動化が可能になります。

IT自動化のメリット

ITの自動化は、ソフトウェア開発のライフサイクルの課題を減らすだけでなく、開発チームの認知負荷を軽減することも目的です。開発者がソフトウェアを更新しても、その自動検証が合格した場合、自信をもって本番環境に反映させることができます。

ITの自動化には、技術のモダナイゼーションを達成する上で以下のような利点があります。

  1. 品質保証、セキュリティ、アーキテクチャ、その他の部門のリソース計画の必要性の減少
  2. 統合テスト環境の計画の必要性の減少
  3. 技術変更における委員会承認の簡易化
  4. 週に何度も、または一日に何度でも機能変更の展開が可能
  5. 新人エンジニアがコードベースで生産性を上げるまでの大幅な時間短縮

IT自動化の課題

IT業界でよく言われることわざに「靴屋の子供たちは足が裸になる」というものがあります。これは、IT部門が自身のプロセスの自動化に十分な投資を行わず、自身のビジネスに悪影響を及ぼしていることを意味します。

技術のモダナイゼーションは、ステークホルダーが求めているレベルと同程度にIT部門が自らのプロセスを自動化した場合にのみ、ビジネスで利益が出ると認識する必要があります。そうでなければ、技術のモダナイゼーションの取り組みは、昨日の技術的課題を今日の技術で再現するだけになってしまいます。

ITプロセスをどの程度自動化するかは、ビジネスの個々の状況によって異なります。特定のプロセスを自動化しても、リターンが減少する可能性もあります。特に、新しい機能が有効に管理されない場合、新しい技術的負債を生む可能性があります。

課題は、適切なビジネス状況を見極めることです。通常、これはデジタルプロダクトポートフォリオの適用によって実現されます。このポートフォリオは、技術的ソリューションを効率的に管理し、プロダクトライフサイクル全体に係るITの自動化に関連したアプリケーショとの整合を確実にすることが目的です。

技術のモダナイゼーションと変革は、ソフトウェアサービスの計画、構築、展開、実行に関連するITプロセスを自動化するための計画やビジネス戦略なくして成功はありません。自動化の適切なレベルは、ビジネスの状況によって異なります。このため、ビジネステクノロジーのリーダーは、技術提供おいて製品ベースのアプローチを採用する必要があります。

当社の技術のモダナイゼーションソリューションの詳細については、当社までお問い合わせください。
(2022年10月13日)

英語版ブログ「It’s Wise to Modernize. Strategies for IT Automation」へのリンクはこちら

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