解説:データ主導によるITモダナイゼーション戦略の実現 ~テクノロジーインサイトブログを翻訳してご紹介しています~全体像の把握:テクノロジーの近代化が進む中で、組織のデータ資産を見落とさないようにすることが重要です。なぜ重要なのか:モダナイゼーションの取り組みでは、データに基づくビジネス上の意思決定が重要な要素です。結論:データを有効活用してください。ビジネス、IT、データの各チームが協力し、企業で最も価値のあるデータ資産を特定することによって、コスト削減や収益化、リスクの軽減や新しいビジネスモデルを開発するためのよい機会となりえます。多くの企業は、技術のモダナイゼーション化、新たな機能の実装や、技術的負債の削減を望んでいますが、それらに対しことごとく足かせが発生してしまうと、これら取り組みが先送りされることがあります。しかし、技術の急速な進歩、社内の利害関係者や顧客からの新たな需要、進境著しい競合他社、レガシーシステムのベンダーサポートの終了などにより、企業はこれら先送りしていた取り組みを見直す必要に迫られています。新しい製品やサービスに対する顧客の需要がますます高まる中で、テクノロジーのモダナイゼーション化は、現在では常に戦略的に重視され、最新の技術を迅速に取り入れることがビジネスの差別化要因となっています。ITに精通した組織のリーダーは、ITポートフォリオの一部でモダナイゼーション化を必要としていることを十分承知していることが多いですが、「決死の覚悟で取り組む」といった明確な要件がなければ、こうした取り組みへの支持を得ることは困難です。このような場合、組織内のIT分野において使用、保存、移転、処理されているデータを評価することが有効です。評価により、どのようなIT資産がモダナイゼーション化の対象となり得るかを把握でき、ビジネスのさらなるコスト削減、収益化、リスクの軽減、データを活用した新しいビジネスモデルの開発が可能になります。しかし、多くの企業では、データは異なるシステムの各々の領域にサイロ化し格納されている傾向があります。ITモダナイゼーション戦略を策定する際には、データ資産をビジネスチャンスと捉えて検討することが重要です。この機会に、サイロ化したデータから革新的な方法で問題を解決し、新しい価値を生み出す能力を引き出し、将来につなげることができるのか、また、それを理解することでテクノロジーのモダナイゼーション化に関する意思決定にどのように役立てることができるのかを考えてみてはいかがでしょうか。ビジネスチャンスは、モダナイゼーション化する十分な理由である以下にて、データの価値を理解することが、テクノロジーのモダナイゼーション化を決定する上でいかに重要な役割を果たすかを示す一例をご紹介します。ある老舗銀行は、買収を通じて成長し、不動産ビジネスのために特注したシステムと、保険ビジネスのための別システムを使用しています。これら不動産や保険ビジネス専用のシステムにおいて、モダナイゼーション化は優先事項ではありませんでした。この銀行の優秀なチームは、両システムのデータ統合で新たな価値を見出せることに気づきました。どの顧客が不動産を購入しているのかを把握することによって、その顧客が購入した不動産に対して保険を提供する機会を得ることができます。この銀行にとって、データ統合により、クロスセル機会を自動実施できるようになることが、両プラットフォームをモダナイゼーション化する十分な理由となりました。さらに、この分析では、これらシステムのビジネス上の重要性と、最新化されたプラットフォームに対する耐久性が、主要な要件であることが明らかになりました。また、両システムで利用可能となったすべてのデータは、さらに新たな用途にも利用できるようになりました。見逃してはならないことは、両システムが耐久性のある新しいテクノロジープラットフォームを得たということです。システムのモダナイゼーション化を通じてデータを公開、統合することよって、新しい価値を創出し、イノベーションを促進することができます。また、データはITのモダナイゼーション化投資に対する収益性を評価する際にも役立ちます。ビジネス、ITとデータの専門家が協働するときIT資産の老朽化、安定性、回復力、コンプライアンス状況だけを考慮するのではなく、組織はビジネスとそのビジネスを実現するために必要なシステムを特定し、優先順位付けを行います。新たなビジネスの機会を追求に資する異なるシステムからのデータ資産の特定や、複雑な環境でより耐久性のあるビジネス上重要なシステムに注意を促すことができます。それにより、データドリブンの利点をより大規模なモダナイゼーション化計画に取り入れることができます。これら成果は、ビジネス、IT、データの専門家が、モダナイゼーションによってどのような新しい機会が得られるか、継続的に話し合うことから始まります。この取り組みでは、各ビジネス、IT、データのチームが協力して、新しいビジネスの可能性を追求し、データに基づくテクノロジーのモダナイゼーション戦略を確立することが求められます。主に、データの保管場所を公開することで新たな機会を発見できます。すでにデータガバナンスを確立している組織は、この取り組みを比較的容易に実施できる傾向にあります。次に、ビジネス上必要な機能に資するデータは何かを理解します。例えば、ビジネスアナリストは、エクセル入力において、現在使用中の多数のレポートを指し示すかもしれません。データ専門家は、アドホックな分析に使用するデータすべてのソースを確定し、関与するシステムを特定します。データリネージ技術によっても、企業全体のデータがIT資産によってどのように使用、保存、移転、処理されるかを把握できます。これらのステップでは、IT資産の特定範囲を対象に、そこで取り扱われるデータの優先順位付けを行い、データドリブン型モダナイゼーションの範囲を特定します。重要なデータ資産を発見し、分類し、関連するシステムをモダナイゼーション化することで、新しいビジネスチャンスを見出します。また、データの重要性、機密性、所有権を考慮し、回復力とコンプライアンスを保証するセキュリティ管理をシステムに適用するための理想的な口火を切ることになります。コスト削減、収益化、リスク軽減データドリブン型モダナイゼーション戦略の取り組みが頓挫し、先送りにしてしまわないようにしましょう。各ビジネス、IT、データのチームが協力して、企業の最も価値のあるデータ資産を特定し、これら資産を保存し処理するプラットフォームのモダナイゼーション化を優先することで、コスト削減、収益化、リスク軽減、新しいビジネスモデルの開発といった好機が生まれます。異なる特定範囲のデータを活用することで、リーダーはビジネスを成長させるための新しい取り組みを識別し、追求することができます。(2023年5月9日)英語版ブログ「Enabling A Data-Driven IT Modernization Strategy」へのリンクはこちら Topics IT管理/アプリケーション/トランスフォーメーション データ、分析とビジネスインテリジェンス デジタルトランスフォーメーション